イノベーションを広める方法:世界銀行を変革した事例から

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イノベーションを通して社会課題を解決する動きは、営利企業、公共、NPOを問わず近年盛んになっています。
その反面、「イノベーションをどうスケールするか(広めるか)」は常に課題です。

NGOや国連、世界銀行などによる国際開発の現場でもそれは例外ではないようです。
Googleを経て世界銀行に参画した、ある米国の財団のCEOが自身の経験をもとに語っています。
https://www.devex.com/news/opinion-innovation-often-fails-to-scale-maybe-we-can-fix-it-94311

専門機関がイノベーションを起こす難しさ

この記事の著者は2009年に世界銀行に参画し、新興テクノロジーを活用したイノベーションラボを率い始めたそうです。
世界銀行という組織でイノベーションを起こすにあたって、「専門家中心の組織風土」が障壁になりました。
専門家はプログラムを実施するにあたって、計画、予算、明確なKPI、リスク管理を求め、「前例のあるイノベーション」を求めており、チャレンジが難しい環境が作られます。
極めてリスク嫌いな組織風土と言えるでしょう。

「小さな自由」を確保する

イノベーションを起こすうえではリスクを回避すること以上に、リスクを管理することが求められます。
極めて相性が悪い専門家組織でイノベーションを実現するために、著者は新しいことを試せて素早く学習できる組織とプログラムを作りました。
その一番の例が、世界銀行のオープンデータプラットフォームです。
このプラットフォームには、世界中の統計データが誰でも利用可能な状態に公開され、国際開発に必要なデータベースのスタンダードになりました。

外部コラボレーション

オープンデータプラットフォームが活用されてから、外部機関とのコラボレーションが進められました。
世界銀行の国際開発プログラムを、携帯電話やソーシャルメディアなどのテクノロジーを使って市民主導で広める取り組みです。
一例として、タンザニアの学生に携帯電話を渡し、スラム街の中で公共サービスが届いていない場所をGoogleマップに記録するというプログラムを実施しています。

このように、世界銀行は多くの人が利用できるプラットフォームを提供し、それを元にしたイノベーションのアイデア創出に外部の力を借りることで、スケール可能なモデルづくりに成功しました。
専門家が得意とする「問題」の把握を強みとしつつ、柔軟な発想が求められる「解決」の開発を外部と一緒に進めるようになったのです。

外部との連携に必要なスキル

社会課題の解決は、一つの機関だけで実現できることは少なく、市民、企業、政府、投資家、財団などが強みを持ち寄って取り組む必要があります。
それを実現するために必要なことは、①未知のプレイヤーと協働すること、②解決策を生むために多分野の専門家を引き込めることの2つです。

近年コレクティブインパクトの重要性が提唱され、5つの要素の中にもコミュニケーションの重要性が挙げられています。
国際開発など、既存の大きな機関が事業を展開している分野に新しい団体が参入し、それぞれの得意分野を活かしあうプログラムが増えることが期待されます。

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