社会課題に関心を持ち続けてもらう5つの方法-行動科学の知見から-

NPOなど社会課題解決に取り組む組織にとって、自分たちの課題に関心を持ち続けてもらったり、応援してもらうことは活動に不可欠です。
関わり続けてもらうためには、緻密なコミュニケーション設計が必要となります。

関心を持っている人を実際に行動まで促すのはさらに大変です。
社会PRエージェンシー大手のM+R社の調査によれば、非営利組織のメルマガから情報を受け取っている人のうち、年間に3回以上何か行動を起こすのはそのうちの5%にとどまるそうです。
facebookページをフォローしていても投稿を目にするのは4%で、何かしらのリアクションを見せるのは平均0.3%にとどまっています。

関心を持ち続けてもらったり、行動を促すためにどのような働きかけが必要なのか、社会課題解決やソーシャルインパクトの観点から下記の記事を取り上げます。
https://ssir.org/articles/entry/keeping_people_engaged_in_your_cause_with_help_from_behavioral_science

行動=動機+能力+きっかけ

人が行動を起こす条件が理論化された「フォッグ式消費者行動モデル」というモデルが、マーケティング分野では頻繁に使われます。

人の行動は動機、能力(≒行動への障壁)、きっかけの3つがそろって初めて促されるという考え方です。

動機には苦痛や孤立の回避であったり快楽や承認の追求、
能力には時間、お金、行動エネルギー、精神的負荷、社会規範、慣れ、
きっかけは外からの働きかけ、口コミ、使いやすいUI
などが挙げられます。

SSIRよ

社会課題解決の働きかけに活かす5ステップ

フォッグ式モデルに基づいて動機、能力、きっかけを外側から刺激することで、狙っているアクションを促すことができます。

キャンペーン作りに関わる記事の著者は、具体的な方法を5つ提示しています。

1.働きかける相手を理解する

行動を起こしてもらうために、動機と能力が自分たちの取り組みと近い人を選ぶのは一つの手です。

そもそも自分たちの社会課題に関心がある人にメッセージを届けることで、行動を促しやすくなります。

2.早く行動する

既存の研究によると、人が何かの行動への動機について表明した24~48時間以内に働きかけられると、実際に行動してもらえる確率が上がるそうです。

ニュースやバズが生じて話題になった際に、関心を持っている人にメッセージを タイムリーに届ける体制が必要です。

3.簡単なアクションを提示する

ハッシュタグをつけてつぶやく、投稿をシェアするなど、行動のハードルが低いアクションを設けることで、行動を促しやすくなります。

人の関心や動機を長期間維持することは難しいので、定期的に小さいアクションを働きかけることが必要です。

4.賛同者と同じコミュニケーションツールを使う

自分のNPOを応援してくれる方が特定のSNSを使う傾向を持っていれば、NPOもそれを利用すべきです。

日常的に目にするツールやコミュニケーションの場に出向くことで、より簡単に接点を作ることができます。

5.コントロールしようとしない

社会課題について一方的にメッセージを届けるのではなく、関心を持ってくれている人や賛同者同士がコミュニケーションをとれるきっかけを提供するべきです。

社会課題自体への関心を強めてくれるだけでなく、議論を生んで個人同士で広めてくれます。

NPOの運営に活かすために

社会課題解決に取り組むNPOが上記のような働きかけを行うためにはどうすればいいのでしょうか?

最近のNPOの多くは、自分たちの社会課題を広めたり賛同者を集める上で、関心を持ってくれそうな人のペルソナ像やカスタマージャーニーを作ることが増えています。

関心が高まったタイミングでタイムリーに行動を促すのも、SNSの通知を使ったりすることで可能になっています。

簡単なアクションの提示では、ハッシュタグを使ったキャンペーンが広がっていたり、アンバサダー制度で周りの方に広めてもらったりしている例が見られます。

NPOのコミュニケーションツールの充実や、議論のきっかけの提供が残された課題であるように感じられます。
広報や情報発信にあてられる労力や金銭コストが限られる中、さまざまなツールやチャネルを使って、魅力的なコンテンツを定期的に発信することは非常に難しいです。

特に社会的にコンセンサスを取りづらい繊細な社会課題の場合は、「議論を生む」ことが結果的にコミュニケーションコスト増につながることも考えられます。

今後、NPOが社会課題解決への賛同を大きくするための、広報や情報発信を効率的に実施することが課題になると思われます。

コメントを残す